VMwareでXPを仮想環境化するのにいいPCとは、って話。

前にも書いた通り、わしは鳩レースの審査員と言う仕事を引き受けてる。
審査と言っても以前は審査ルールに則ってレース参加者から提出されるリザルトを全部確認し、序列をつける作業をすべて手計算で行っていたので結果が全部出るまで数日かかり更に後日に再審査を行って序列確定するまで下手すると1週間ほどかかっていたのだが、自動入舎とPC連動する計測器の導入のおかげて、1万羽位の序列はレース終了後24時間もしないうちに作成出来る様になってしまった。
年配のレース参加者からすればスゲー進捗なんだろうけど、これが当たり前で始めているわしなんかからすればこんなもんなんかな、って感じだ。

そんな鳩レースの審査時間を短縮してくれるPC環境なのだが、実のところこの四半世紀位の間、一向に更新される事がなく今に至っている。この辺の細かい状況は以前の投稿記事をご覧いただきたいのだけど、実はここ数か月の間集計に用いるPCのリニューアルを何件か請け負う事をやってる。

古い環境を新しいPC+仮想化で再現する、だけど…

Asus E510MA E510MA-EJ934WS 
引用:Asus Japan ホームページより
近所の量販店でも5万円前後で購入できるのだけど、
こんなPCでも液晶画面はフルHDだ。
VMware+XPで環境構築したけど如何せん画面の文字が小さくなってしまう


元々が20年以上前のシングルコアCPUで動くXPパソコン用の環境なので最近の安価なCeleron CPUのパソコンにVMwareをインストールしても何ら問題なく、それこそ古いPCよりもサクサクに動作してくれる。ここら辺は64bitのマルチコアCPUとSSDストレージの恩恵だろう。

しかし実験も含めて何種類かPCでVMware&WindowsXP環境を作ってみて意外と面倒に思うものがあることを感じた。それは最近のPCのモニタが高解像度過ぎるという問題だ。
もうすっかりWindows7や10に慣れてしまって忘れているけど、XPの頃のPCのモニタはドットバイドット表示、つまり1ドットで表示するものは1ドットを使用する、という仕様になっている。しかし昨今のモニタはフルHDや2K、4Kが当たり前になっており、しかもここにOS側の方で標準で拡大表示が出来る機能が盛り込まれている。

モニタは高解像度になるけどモニタの物理サイズ、特にノートパソコンのものは今も昔もあまり変わらない。縦横の比率が旧来は4:3だったものが昨今は16:9と多少横長になったという変化はあっても物理的な寸法は大体15インチ前後だ。
物理的なサイズがたいして変わらないのに解像度は上がる、という事は1ドット当たりの寸法が小さくなるという事だ。で、このようなモニタでXPをVMwareで仮想化実行すると…まぁ老眼にはきつい文字サイズになってしまう。そして何よりXPにはWin7や10程の拡大表示機能は備わっていない。これは正直使いづらい。

仮想環境でXPを動作させるのに理想のPC(24年春現在)

で、こういう経験を何回か繰り返し、FMV Lite 3015/Gと言うPCにたどり着いた。

FMV Lite 3015/G FMV3015GB VMware上でXPが動作してるのがお分かりになるだろうか

価格コムの情報だと24年4月3日時点で売れ筋ランキング51957位中939位(因みに同順位は他にも40台位上がってる)とまぁ売れ筋からわほど遠い機種である事が分かる。これでも発売は23年3月と1年落ちなのだけどね。
詳しい仕様は価格コムの商品ページを見るとして、注目したいのはこのPCはintelプロセッサ、15インチのノングレア液晶で解像度がFWXGA(1366x768)、光学ドライブ付きという点だ。

まずintel系のプロセッサ。これはVMwareが動作するのにはバーチャライゼーション・テクノロジー(VT-X)の機能を持つintel系CPUが必要になる。
最近の安価なパソコンはAMD系のものが多く、特にRyzen系のCPUは同じ位の性能を示すIntel系CPUを載せたPCに比べても安価ではあるけど、こちらの主目的であるVMwareを使ったXP仮想環境構築をする上ではこの組み合わせは相性が悪いという報告をweb上で多数見かける。自分の趣味で実験でやるならその組み合わせもいいのだけど、最終的には他者にゆだねるPCでそういうあやふやな事は怖くて出来ないから、ここは信頼と実績のIntel系CPUを選ぶ事にする。その代わり、Core-iシリーズの様な高性能なものは選ぶ必要はない。新しめのCeleronで十分だ。上記の通り仮想環境とは言え相手は32bitOSのXP、しかもその用途は若干面倒な計算主体のアプリケーション。実際に使ってみても問題ない処理速度と思うので、ここはこれ以上望む必要なし。
画面サイズと解像度に関してはこれまで使ってたXPのパソコンが1024x768のXGAだったのだが、FMV Lite 3015/Gは縦解像度はそのまま同じで横に伸びた様なサイズなので大体これまで通りの感じで使用できる。VMwareの設定で起動時に全画面表示にすると最新PCでXPが起動したのではと思う位の状態に出来るのもいい。
最近のPCは光学ドライブがない機種も多いのだが、仮想とは言えXPを運用するのであればソフトウェアの入手はまだまだCD-ROMやDVD-ROMも使うので光学ドライブはないよりあった方がいい。

Amazonで販売されているUSB to RS232 アダプタ
引用:Amazon商品ページ

あと問題になるのは個々の計測器とPC、プリンタの接続を中継する機器との接続問題。
これも新しい機種のものはUSBケーブルでPCと接続できるのだが、うちの連合会で使っているのはちょっと古い機種なのでPCとの接続はシリアルケーブルで接続する事になる。しかし最近のPCはシリアルポートもなくなっているから、これもUSB変換ケーブルで代替する事に。ケーブルそのものはAmazonなどでも購入できるけど、XP用のドライバを問題なく入手できるものを選ぶ必要があるかしら。
実のところこの辺のケーブルに関してはXP対応を謳っている国内メーカーのものであってもドライバは大本の製造メーカーのサポートサイトからダウンロードして使えって取説にも書いてあったりして、一方Amazonで売ってる同種の安価のものを選んでも結局は同じサイトからドライバをダウンロードする事になったりして、価格差を考えても国内メーカー品を買う意味ないなぁとか思ったりする。

ついでにもう二つ。
一つ、鳩レースの結果の印刷をするのに自分的にはPDF印刷を利用してる。
レース結果の集計ソフトには所定の書式で印刷する機能があるのだけど、書式に必要なデータを入れて印刷し終えて次の作業に移ると書式用のデータが全部消えてしまう。で、こうやって次の作業を始めてると
『さっきのもう1枚くれよー』
みたいなのが現れる…そうなると先ほど入力した書式に必要なデータをもう一度入れなおす事になる。はっきり言って面倒くさい。

XL softのPrimoPDF紹介ページより引用

そこで考えたのが印刷物を直接プリンタで印刷するのではなく、一旦PDFに出力してそれを印刷するという方法。今どきのアプリならPDF出力を標準でサポートしてるものもあるけど、XPの頃のソフトにはそんな機能はない。そこで考えるのがPDF出力用の仮想プリンタドライバを使う方法。
以前のXPパソコンではCubePDFと言うソフトを使っていたのだけど、これが新しいXP環境だとインストール出来ない。どうも.netframework3.5以上のインストールが必要とかそれをインストールするのにXPサービスパックが必要とかWindowsインストーラーも必要とかで、しかしこれらのデータのダウンロード元サイトが悉く当時のwebサイトから遷移していたり新バージョンが主になってて旧バージョンは奥にしまわれてたり、とこれまた面倒なことになってる。
なので考え方を変えて別のソフトで対応する事にして、PrimoPDFを使う事にした。こちらも.netframeworkは必要だけどその辺の導入も比較的問題なく出来たので、仮想プリンタドライバでPDF出力出来る様になればなんでもOKだ。

LiberOffice の紹介ページより引用

二つ、レース結果のデータ加工にこれまではMicrosoft Excelを使っていたのだけど、ご存じの通り、最近のExcelはネット接続状態を前提に使用するように作られており、オフラインで使いたいとなると買取版のofficeを使う必要が出てくるのだけど、まぁやっぱりこの辺はいいお値段がする。無料で使えるoffice onlineサービスもあるけど、鳩レースの審査会場はネット環境もない様な場所でやる事が多い。

最近はリースアップした古いPCを買うとWPS Officeが付属する場合もあるけど、これだってオンラインでライセンス認証しないと使えないし、やはりMicrosoft Officeに倣ったネット接続状態前提になってるのもある。

そこでofficeスィートについてはLibreOfficeを導入してみた。以前のLibreOfficeはMS Office 2007以降のファイル形式に対応してなかったり、メニューの表示も古いofficeの様なドロップダウン方式だったりしたのだけど、最近のものはMS Officeに倣ったリボンメニュー方式になってるし、.xls/.xlsxのファイル形式も読み書き出来る様になってるのでMS Officeと使用感は総違いはない感じ。
鳩レースのレース結果データは独自の拡張子を持つ専用ファイルなのだけど、その中身は単なるCSVなので、テキストエディタで編集し、Excel…じゃない、LiberOfficeのCalcで集計するのも問題なく出来る。

今後この需要は増える…かもしれない

という事で春の鳩レースは5月上旬で終わるのだけど、今年はもしかすると10月に始まる秋レースまでの間にこのようなPCのセットアップがまだまだ発生するかもしれない。

結構多くの地域でXPで動作するパソコンを大事に使いながら鳩レースの審査をやってきた訳だけど、XPを直接インストールできるPCってVista/Win7の頃のものまでが限界だと思う。少なくとも2015年以降はWindows10が市販PCの主流になっていて、この頃は新規販売品は64bitになっているはず。パソコンの寿命を考えると直接XPをインストール出来たVista/7世代のPCもそろそろ寿命を迎えるかと思うのだが、しかし一方でこの鳩レース用のPCソフトを現在でも販売/サポートしてる会社では審査用PCがトラブった時の対応にXPが動作する古いPCをレンタル、もしくは販売と言う対応しかしていない。しかも販売もそれほど弾数は持ってないそうだし、持ってるとしてもいうほど安価でもない。

そうなると秋レース前、もしくはその前の7、8月頃にこの辺の話が盛り上がるかもしれない。7、8月と言うのは秋レースに参加するレース鳩の情報を新規に記録器に登録する時期だからだ。ぶっちゃけこの時期が審査に関わるPCの一番集中して稼働する時期とも言えるから、ここでトラブって足踏みしてる訳にはいかない=早々に新規PCを導入しておこうッてことになるかなぁ、と捕らぬ狸の皮算用をしてみる今日この頃です。

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